ある日、実家で夕食をつくりながら、YouTubeの番組を聴いていました。
すると、最近フラダンスを始めたという方が、こんなことを言っていました。
「踊っていること自体が楽しい」
「自分のエネルギーが躍動する」
なるほど。そんな感覚を味わえるなんて、素敵だなあ。
そのとき、ふと思ったのです。
踊っていること自体が楽しいなら、もうそれで十分じゃない。
子どもの頃の憧れ
私は小学生の頃、クラシックバレエを習いたかったのです。
有吉京子の『SWAN―白鳥―』というマンガが大好きでした。
しかし、習うにはお金もかかるし、遠くまで通う方法がなく、親にも言わず断念しました。
子ども心に、「今世はもう間に合わない」。
「来世でアメリカでモダンダンスをするんだ」と決めました。
(当時から、来世があると普通に思っていたんですね。)
だからこそ、あのYouTubeの言葉が、心にすとんと落ちてきたのだと思います。
フラダンスとの出会い
なんとなくネットでフラダンスを検索したら、素足で踊っているではないですか。
私は足指の辺りを痛めていて、やっていたのはヨガぐらい。
素足なら何とか大丈夫です。
グラウンディングもできて一石二鳥。
すぐに、松江や出雲の教室を探し始めました。
車で30分のところにある、「初心者も歓迎」という教室の体験に行ってきました。
さすがに、ステップにはまったくついていけませんでしたが、
先生の踊りがとても優雅で素敵でした。
その場で教室に通うことを決め、そのまま練習用のパウスカートの生地を買いに行きました。
自分で作れそうだったから。

教室のグループLINEの自己紹介で、
「フラダンスのフの字も興味がなかったのに、流れで申し込みました。」
と書いたら、先生からお返事がありました。
「出会いですね。佐藤さんがフラに出会ったということです。」
なんだか、印象的な言葉でした。
フラは”女の子”がやるもの
そもそもフラダンスは、笑顔の似合う優しそうな女の子がやるもの、というイメージがありました。
友達も何人かやっていましたが、私はまったく興味がありませんでした。
なぜなら、自分は正反対だったから。
背も高く筋肉質、どちらかというとクールな感じで、中性っぽかった。
男兄弟だったからでしょうか。
それでも、クラシックバレエには憧れていたから不思議です。
ちょっといいかも。
そんな直観にしたがって行動を起こしたら、新しい扉が開けました。
通い出した教室の名前はUlu。
「成長する、広がる」という意味のハワイ語です。
そのちょうど二か月前に、オーストラリアのUluluを訪れていました。
母のために作った鞄にUluluのワッペンを付け、私のフラ用のバッグにしました。

頭で踊ろうとしていた
初めてフラを踊ったとき、からだの動かし方がわからなくて焦りました。
帰り際、先生に言われました。
「頭で踊ろうとしてたね」
ここでも、言われた。
そうです。私は頭の中でシミュレーションをする人なのです。
ああやって、こうやって。
でもね、なんだか楽しかったのです。
少し慣れた頃には、踊っているとき、優しい気持ちになっている自分を感じました。
フラを始めて、髪の毛も伸ばすことになりました。
人生初のポンパドールを結うためです。
だんだん自分の女性性が増していっているような。
人前での初披露
それから、1年半続いています。
先日、介護施設でのボランティアで、初めて衣装や髪飾りをつけて踊りました。
普段はしない化粧をし、髪をアップにして、新調したドレスにシェルレイをかけて。
普段と勝手の違う場所で、けっこうミスりました。
でも、なんとか笑顔でカバー。
施設にいた頃の母を思い出しました。
母にも見せてやりたかったなあ。
一緒に真似をして手を動かしたり、「踊りたかった」とおっしゃる利用者さんも。
楽しい時間を過ごしてもらえたようで、嬉しかったです。
長い間、自分とは縁遠いものだと思っていたフラダンス。
自分の中に埋もれていた何かを、思い出させてくれているような気がします。

からだのの反応よりも前に、思考が動き出す。私はそれが長年のクセになっていました。それが自分と向き合う時間を重ねていくことで、少しずつからだに意識を向けることが多くなってきました。そうすると、見える世界が変わっていくんですよね。
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